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あたる
1.もらう。「きょう給料あたったから、おごったげっちゃ」=「今日は給料をもらったから、おごってあげるよ」。県外の人はこれを聞いて「富山では給料が宝くじみたいに、抽選なのか!?」とびっくりするらしいが、それが本当なら暴動が絶えないであろう。応用編として、「〜してあたる」=「〜してもらう(もらえる)」。
2.触る。富山出身者に「それ、あたらんでね」と言われたら「それ」には決して触れてはいけない。
3.暖房・冷房の恩恵を享受する。「ストーブにあたる」「クーラーにあたる」という具合。「焚き火にあたる」っていうでしょ。
ありがたぁなる
心地よい眠気に襲われる。美味しいものを食べた後でコタツに入っているときなど、まさに「ありがたぁなる」のである。何かに恩を感じているわけではない。
いがむ・へがむ
ゆがむ。富山の民謡「さんさい踊り」のなかに、「目こそへがなれ 器量よし」という歌詞がある。目はゆがんでいるが器量は良い、という意味。
いっさがす
探す、引っかき回す。いっさがす対象は物であり、「誰々をいっさがす」とは言わない。
いのく
動く。漢字を当てると「居退く」で、その場から離れる・立ち退くというのがもともとの意味。「いのかす」=「動かす」。
例:「そっから、いのかれんがよ」=「そこから動いてはいけないよ」。
古:「聖人いのかむとするときに」by「今昔物語集」(編者不明、12世紀前半)
いろむ
作物などが色づく。熟する。食べごろになる。
うしなかす
なくす。「失う」と「なくす」を足して割ったような言葉。牛を泣かせるわけではない。私はよく物をうしなかすが、思いもしないところから忘れたころに出てくるなんてことがままある。
おく
やめる。
例:「こっで、おいたっ!」=「もう、やーめたっ!」
おる
いる。
例:「今どこ?」「駅前におるよ」、「どこにおったん?」=「どこにいたの?」
「(人や動物など生き物が)存在する」と言うときに「いる」を使うのは東日本、「おる」を使うのは西日本。富山は日本の真ん中あたりに位置しているが、言語は西寄りだといえる。ちなみに「いる」と「おる」の境界線は糸魚川−浜名湖ライン。
おわらがす
終わらせる、済ませる。
「宿題おわらがされ」=「宿題を済ませなさい」
かいこする
交換する。「かいことする」とも言う。「かえっこ」がつづまったものか。
かたがる
傾く。「こ、えらいかたがっとっぜ」=「これ、ずいぶん傾いてるよ」
この「かたがる」は「きときと」「まいどはや」などと違い、富山弁だと認識していない富山県出身者が相当数いる模様。そして県外においても、「ここ、かたがってるよ」などと御丁寧にも東日本式の「テイル形」にして平然と使い、全く通じず少々恥をかく。(そんなとき、「この言葉知らないの?」と言って逆に「かたがる」を県外に広められる富山県民はツワモノであるといえよう。)
かちこわす
日本中が見守る中、あさま山荘に鉄球が打ち込まれるシーンを想像してもらうと分かりやすい。「かちこわす」が表現したいのはまさにあんな場面なのだ。古いネタですみません。 次項の「かつ」と「こわす」がくっ付いてより強いニュアンスになったもの。同じパターンの動詞に「かち殺す」というちょっと怖いものもある。標準語の「ぶち壊す」「ぶち殺す」にそれぞれ対応していると思ってよい。また「かち割る」という言葉からも、「かつ」に「力を入れて打ち付ける」という意味があることがお分かりいただけよう。
かつ
米またはもち米を、「搗く」こと。(これを「つく」と読める人自体が少なくなっているのではないか。この機会に覚えて帰ってください。)要は玄米を棒の先でつぶして精米することであり、もち米の場合は杵でペタンペタンとやって美味しいお餅を作ること。 最近ではどちらも機械化されているが、「かつ」という言葉は依然として現役である。
かつかる
ぶつかる。おそらくは上掲の「かつ」から出来た言葉で、「ぶつ」から「ぶつかる」が出来たように「かつ」から「かつかる」が出来たのではないかしら。どうかしら。 また、「かつける」は「ぶつける」に同じ。「衝突」の意味で「かっちゃぼっこ」「かっちんぼっこ」という言葉もあるそうで。
くじる
ひっかく。猫にくじられたり、子供にくじられたり、富山県民は大変である。
くる
行く。逆じゃないの?と思われるかもしれないが、「行く」と言うときに「来る」を使う地方は富山以外にもある。「明日は10時ごろに来るよ」と言う時、「来る」のは話し手。英語の"I'm coming."(いま行くよ)を思い浮かべていただくと分かりやすい。
かやす
返す。ひっくり返す。「かえす」が転じたもの。
けつまづく
転ぶ、つまずく。漢字で書くなら「蹴躓く」。この2語よりも「けつまづく」がより痛そうな感じに聞こえるのは私が富山出身だからなのか。もっとも、「動物のお医者さん」(北海道を舞台にした漫画)のなかでも使われているくらいなので富山限定ではないと思われるが、東京では聞かない。
けやす
消す。
例:「火ぃ消やいといて」=「火を消しておいて」。
ごぼる
数十cm(多いときは1m以上)積もった雪の中を歩くときに、足が雪の中に沈むこと。そうなるととても歩きにくいので、あらかじめ雪かきをしておかねばならない。「かんじき」をつけると比較的ごぼらない。
こわす
両替する。くずす。
「こまこいぜんなないけに、こわいてもらえっけ」=「小銭がないから、両替してもらえる?」
しゃーかす・ひやかす
食べた後の食器を水に浸すこと。自動食器洗い機の普及に伴い、消えていくことが予想される言葉。
ずらかす
やべえ、おまわりだ!野郎ども、ずらかれー!…ではなく、「ずらす」。まあ、「ずらかる」もルーツを同じくする動詞だと思えないこともない。
ずる
ずるーい!ではなく、「ずれる」。
せん
しない。「せぬ」に由来する。ほかの動詞の打消し形も全てこの要領で、「言わん」=「言わない」、「食べん」=「食べない」、「知らん」=「知らない」となる。
例:「勉強せんとこう」=「勉強しないでおこう」、「昨日、何もせんかった」=「昨日、何もしなかった」。
そぼれる
驚く。「そぼれたちゃ」=「驚いたよ」。
同じ意味の富山弁で「いくそる(いきそる)」というのがあるらしいのだが、私は富山でそれを聞いたことはない。「いくそる」は呉西の言葉なのだろうか。「いくそる」使うよー!という富山出身の方、是非ご一報を。
たたくせる
たたく。
厳しい親御さんなどは、わがままをいう子供をたたくせることがある。最近は児童虐待に対して社会の目が厳しいので、たたくせるのも程々にしたほうが良いかもしれないが。
たちる
立つ、立ち上がる。
「長いことたちっとったけに、足疲れてしもて」=「長いこと立っていたから、足が疲れてしまって」
たったらく
「〜したらく」の応用バージョンの1つなのだが、わざわざ独立させて見出し語としたのは、かなり面白い使われ方をするからである。字面だけ見ると「立って」+「歩く」だが、そんな意味で使われることはむしろ少ない。ほとんどの場合「風で飛ばされる」という意味である。「ほこりがたったらく」と言えば、「ほこりが舞う」ということ。台風など来ようものなら、富山ではいろんな物がたったらくのだ。
また、「飛んでいく」のは「たっていく」という。
「なんのせ風強て、帽子たってってしもたちゃ」=「何しろ風が強くて、帽子が飛んで行っちゃったよ」
だてこく
かっこつける。気取る。「だて」は「だてメガネ」や「だて男」のダテ。
だまかす・だまくらかす
だます。あざむく。東京では一度も耳にしていないが、古くは全国で使われていたらしい。なので富山以外でもこれを使っている地域があるかもしれない。
古:「金毘羅様も成田さまも幾度だまかしたかしれねへ」by「浮世床」(式亭三馬、1813〜23刊)
ちんとする
じっとする。「鎮座」のチンだそうだ。
例:「ちんとしとられんかいね」=「じっとしていなさい」。
てっくりかえる
ひっくり返る。「ひっくりかえる」よりも響きが小気味よく、それはもうステーン!と勢いよく転がっちゃう感じである。
なかまする
共有する。1つのものを一緒に使う。
なごなる
横になって休む。必ずしも眠ることを意味しない。横になっているとき、姿勢は横に長い。すなわち、「長くなる」→「なごうなる」→「なごなる」だと思われる。
ぬく
脱ぐ。「じでんしゃ」「せんだく」などいらぬところで濁音になるかと思えば、この「ぬく」のように濁音になるべきところが清音になるという富山弁の不思議。「靴をぬく」「上着をぬく」のようにいう。富山では普通。昔、「私、脱いでもスゴいんです」っていうエステのCMがあったなあ。
ねまる
座る。語源は「粘る」とも「にらむ」とも言われる。
例:「そいとこにねまったちゃ、きもんきたななるがいね」=「そんなところに座ったら、服が汚れるよ」。
- 「ねまりて物を思案する」by「史記抄」(桃源瑞仙、1477年)
- 「細腹が痛んでねまつたれば」by「雑兵物語」(松平信興?、江戸初期)
- 「涼しさをわが宿にしてねまる也」by「奥の細道」(松尾芭蕉、1702年刊)
ねぶる
眠る、寝る。
古:「かく危うき枝の上にて、安き心ありてねぶるらむよ」by「徒然草」(吉田兼好、1310〜1331年)
のじる
こすりつける。「なじる」と似ているようだが全く違うので注意されたい。
はかいく
「墓行く」のではない。仕事や作業がはかどる、進む。
例:「今朝からなーんはかいっとらんがやちゃ」=「今朝からちっともはかどってないんだよ」
ちなみに北海道でも「はかどる」という意味で「はかいく」を使うのだそうだ。北の大地との意外なつながり。
はならかす
離す、離れさせる。寒い冬に灯油ストーブを使っていて、近くに洗濯物が掛かっていたりすると「そー危ないけに、はならかいとかれ」と言われたものである。
ぼう
追う、追いかける。
ほっちゃる
ほったらかしにする。同じ意味で「ほっぱる」もよく言うのだが、これも富山弁だろうか。
またいする
しまう、かたづける。
「そ、またいしとかれ。人見たちゃけなるがっけに」=「それ、しまっておきなさい。人が見たらうらやましがるから」
まるかる
丸まる。冬の朝はいつまでも布団にまるかっていたいところだが、それでは学校に遅刻してしまう。
「まるける」=「丸める」。
やらける
(布や紙などが)破れる。やらけたジーンズをおばあちゃん(もしくは、お母さん)に繕われてしまった経験を持つ人は少なくないはずである。
やんばいした
安心した、ほっとした。必ず過去形で使われ、それ以外の用法はない。
「あれ、やんばいした」=「ああ、よかった」
よかす
どかす。どける。標準語だろうとばかり思っていたら、広辞苑に載っていなかったので驚いてしまった。
よく
どく。漢字で書くと「避く」。道を空けてほしいときは「よいて!」と言うが、「どいて!」と言うよりも柔らかい感じがして良いような気がする。というわけで富山県外の皆様も明日から使ってみよう、「よく」。
よぼる
呼ぶ。
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